前回は退職した際の社会保険の内、雇用保険の基本手当(失業手当)の手続きについてお伝えしてきました。今回から数回に分けて、雇用保険の内、退職後から再就職までの間に活用できる制度について注意点等を詳しくお伝えしていきます。
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退職後~再就職までの間に活用できる給付の種類について
雇用保険では、以下の退職後~再就職までの期間で活用できる給付の種類があります。
- 求職者給付:技能習得手当、寄宿手当
- 就職促進給付:移転費、広域求職活動費、短期訓練受講費、求職活動関係役務利用費
- 教育訓練給付:一般教育訓練給付金、専門実践教育訓練給付金、特定一般教育訓練給付金、教育訓練支援給付金
※)教育訓練給付は退職していなくても活用出来ます。
今回はこれらの内、技能習得手当、寄宿手当、移転費について、それぞれの手当について解説していきますね。
技能習得手当
この手当は受給資格者が積極的に公共職業訓練等を受ける条件を整え、その再就職を促進するため、受給資格者が公共職業安定所長又は地方運輸局長の指示した公共職業訓練等を受講する場合に、基本手当とは別に受けられるものです。
手当には受講手当と通所手当があります。
受給額
受講手当:支給の対象は、基本手当の支給の対象となる日のうち公共職業訓練等を受けた日で、日額500円で、上限20,000円までです。
通所手当:受給資格者の住所又は居所から公共職業訓練等を行う施設へ通所するために交通機関、自動車等を利用する場合に支給され、月額は上限42,500円までです。
受講指示の要件
厚生労働省のHPのQ&Aによると、基本手当の支給残日数に以下の要件があるようです。
雇用保険を受けている方に対する公共職業訓練の受講指示については、早期再就職の促進のため、原則として雇用保険の所定給付日数の2/3に相当する日数分 (ただし、所定給付日数が90日の場合は90日分、120日又は150日の場合は120日分、240日以上の場合は150日分まで)の基本手当の支給を受け終わる日以前に、受講が開始される職 業訓練を対象としてハローワークで受講の必要性を判断させていただいております。個々の求職者の方の雇用保険の給付状況や職業相談の経緯に応じて各ハローワークにおいて受講の必要性を判断させていただきますので、詳しくはお近くのハ ローワーク窓口にてご相談ください。 ー厚生労働省HPのQ&Aよりー
受給の手続き
公共職業安定所長の指示にて公共職業訓練等を受けることになったとき、すみやかに「公共職業訓練等受講届」及び「公共職業訓練等通所届」に受給資格者証を添えて管轄公共職業安定所長に提出した上で、失業認定の日に公共職業訓練等受講証明書に受給資格者証を添えて管轄公共職業安定所に提出します。
寄宿手当
この手当は、受給資格者が公共職業安定所長の指示した公共職業訓練等を受けるために、家族(その者により生計を維持されている同居の親族、婚姻の届出はしていないが事実上その者と婚姻と同様の事情にある者)と別居して寄宿する場合に支給される手当です。
受給額
対象期間:公共職業訓練等を受けている期間のうち家族と別居して寄宿していた期間。
受給額:月額で10,700円まで。
受給の手続き
手続きは技能習得手当と同様です。すみやかに「公共職業訓練等受講届」及び「公共職業訓練等通所届」に受給資格者証を添えて管轄公共職業安定所長に提出した上で、失業認定の日に公共職業訓練等受講証明書に受給資格者証を添えて管轄公共職業安定所に提出します。
移転費
受給資格者等がハローワークや特定地方公共団体または職業紹介事業者が紹介した職業に就くため、又はハローワークの所長の指示した公共職業訓練等を受講するため、その住所又は居所を変更する必要がある場合に、受給資格者本人とその家族(その者により生計を維持されている同居の親族)の移転に要する費用が支給されます。
受給額
移転費の支給を受けることができるものと随伴する家族について、旧居住地~新居住地までの区間の順路によって計算した額が支給され、移転費には、鉄道賃、船賃、航空賃、車賃、移転料、着後手当の6種類があります。
受給の要件
以下の要件を満たす必要があります。
- 雇用保険の受給資格者等であること。
- 待期の期間が経過した後に就職し、または公共職業訓練等を受けることとなったこと。
- ハローワーク、特定地方公共団体または職業紹介事業者が紹介した職業に就くため、またはハローワークの所長の指示した公共職業訓練等を受けるために、住所・居所を変更すること。
- 事業所または訓練施設が、次のいずれかに該当するため、ハローワークが住所・居所の変更が必要であると認めること。(1) 通勤(所)時間が往復4時間以上であること(2) 交通機関の始(終)発の便が悪く、通勤(所)に著しい障害がある場合(3) 移転先の事業所・訓練施設が、特殊性や事業主の要求によって移転を余儀なくされる場合
- その就職について、就職準備金その他移転に要する費用が就職先から支給されないこと、又は就職先からの支給額が移転のために実際に支払った費用に満たないこと。
受給の手続き
移転費の支給を受けようとする場合は、移転の日の翌日から起算して1ヶ月以内に住居所管轄のハローワークへ、移転費支給申請書に受給資格者証等を添えて提出します。
移転費の支給を受けた場合は、移転後すぐ就職先の事業主に、移転費支給決定書を提出します。
就職先の事業主は、その移転費支給決定書に基づき移転証明書を作成し、移転費を支給したハローワークへ送付します。
注意ポイント
移転費の支給を受けた後、紹介された職業に就かなかった、指示された公共職業訓練等を受けなかった、移転しなかった場合、その支給された移転費に相当する額を返還しなければなりません。
ポイント
この手当は、ハローワークや特定地方公共団体または職業紹介事業者が紹介した職業に再就職した場合も利用出来るのがポイントです。
まとめ
今回紹介しました制度は、基本手当に加えて手当を貰いながら、次に働きたいと思う就職先で有利になるスキルの習得も出来るため、積極的に活用しましょう。
以上、雇用保険の再就職までに活用出来る制度の手続きについてでした。次回も引き続き、雇用保険の退職後~再就職までの間に活用できる制度について解説していきたいと思いますので、よろしくお願いします。
最後までお付き合いいただき、ありがとうございました。