退職関連

退職後の社会保険の手続きについて~雇用保険 基本手当~

2020年9月23日

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これまで退職した際の退職金等の所得税と住民税と、社会保険の内では健康保険の手続きについてお伝えしてきました。今回は、雇用保険の概要と失業手当が給付される基本手当の手続き等について注意点等を詳しくお伝えしていきますので、最後までお付き合い下さいませ。

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雇用保険ってどんな制度?

雇用保険法に基づき、以下の2項目を目的とした制度です。

①労働者が失業した場合などに必要な給付を行う。

②労働者の生活及び雇用の安定を図るとともに再就職の援助を行う。

加入の適用範囲と手続きについて

雇用保険においては、労働者を雇用する事業が適用事業となり、適用事業に雇用される労働者は雇用保険の被保険者となります。

被保険者の適用範囲

①31日以上引き続き雇用されることが見込まれる者であること。

  • 期間の定めがなく雇用される場合
  • 雇用期間が31日以上である場合
  • 雇用契約に更新規定があり、31日未満での雇止めの明示がない場合
  • 雇用契約に更新規定はないが同様の雇用契約により雇用された労働者が31日以上雇用された実績がある場合

②1週間の所定労働時間が 20 時間以上であること。

①と②を両方とも満たす者が、雇用保険の被保険者となります。

加入の手続き

事業主が「雇用保険被保険者資格取得届」を事業所の所在地を管轄するハローワークに、被保険者となった日の属する月の翌月 10 日までに提出することとなっています。

ピタくま
会社が手続きしてくれますが、加入状況を確認したい方はハローワークで確認の紹介手続きで確認できます。

給付の種類について

雇用保険では、以下の給付の種類があります。

  • 求職者給付:基本手当、技能習得手当、寄宿手当、傷病手当、高年齢求職者給付金、特例一時金、日雇労働求職者給付金
  • 就職促進給付:再就職手当、就業促進定着手当、就業手当、常用就職支度手当、移転費、広域求職活動費、短期訓練受講費、求職活動関係役務利用費
  • 教育訓練給付:一般教育訓練給付金、専門実践教育訓練給付金、特定一般教育訓練給付金、教育訓練支援給付金
  • 雇用継続給付:高年齢雇用継続給付、育児休業給付、介護休業給付
ピタくま
沢山ありますね~。
今回は、基本手当の受給に的を絞って解説していきますね。
ピタくま

基本手当(失業手当)について

被保険者が、定年・倒産・契約期間の満了等により離職し、失業中の生活を心配しないで、1日も早く再就職できるように支援する手当で、失業手当とも呼ばれる手当です。

受給の要件

雇用保険の一般被保険者が離職して、以下の2つの要件ともにあてはまるとき基本手当が支給されます。

①ハローワークに来所し求職の申込みを行い就職しようとする積極的な意思があり、いつでも就職できる能力があるにもかかわらず、本人やハローワークの努力によっても、職業に就くことができない「失業の状態」にあること。

②離職の日以前2年間に、被保険者期間が通算して12か月以上あること。

ただし、特定受給資格者又は特定理由離職者については、離職の日以前1年間に、被保険者期間が通算して6か月以上ある場合でもOKです。

注意ポイント

退職後、そもそも起業を考えている方や働く意欲がなく家庭に入る方で再就職を考えてない方は受給の対象外となります。

所定給付日数

離職の仕方により給付日数が異なります。

①特定受給資格者及び一部の定理由離職者(就職困難者を除く)

倒産や解雇等による離職者、ケガ、疾病等の正当な理由がある自己都合による離職者

被保険者であった期間1年未満1年以上~5年未満5年以上~10年未満10年以上~20年未満20年以上
30歳未満90日90日120日180日
30歳以上35歳未満120日(※)180日210日240日
35歳以上45歳未満150日(※)240日270日
45歳以上60歳未満180日240日270日330日
60歳以上65歳未満150日180日210日240日

(※)受給資格に係る離職日が2017年3月31日以前の場合は90日

②就職困難者:身体・知的・精神障害者等
被保険者であった期間1年未満1年以上
45歳未満150日300日
45歳以上65歳未満360日
③①と②以外の離職者
被保険者であった期間1年未満1年以上~10年未満10年以上~20年未満20年以上
全年齢90日120日150日

支給額

基本手当日額:雇用保険で受給できる1日当たりの金額のことで、原則として離職した日の直前の6か月に毎月きまって支払われた賞与等を除いた賃金の合計を180で割って算出した金額のおよそ50~80%(60歳~64歳については45~80%)となっており、賃金の低い方ほど高い率となっています。

基本手当日額は年齢区分ごとにその上限額が定められています。2020年8月1日現在は以下の通りです。

30歳未満6,850円
30歳以上45歳未満7,605円
45歳以上60歳未満8,370円
60歳以上65歳未満7,186円

基本手当が支給されるまでの流れ

①退職後、退職した会社から離職票がご自宅に届く。
②住居を管轄するハローワークに行き「求職の申込み」を行う。

この時にハローワークが、受給の要件を満たしているか、また、離職理由についても判定し、受給資格が決定され、雇用保険受給者初回説明会の日時が決まります。

持参するもの

  • 雇用保険被保険者離職票(-1、2)
  • 個人番号確認書類(いずれか1種類)マイナンバーカード、通知カード、個人番号の記載のある住民票(住民票記載事項証明書)
  • 身元(実在)確認書類((1)のうちいずれか1種類(1の書類をお持ちでない方は、2のうち異なる2種類(コピー不可))
  1. 運転免許証、運転経歴証明書、マイナンバーカード、官公署が発行した身分証明書・資格証明書(写真付き)など
  2. 公的医療保険の被保険者証、児童扶養手当証書など
  • 写真(最近の写真、正面上半身、縦3.0cm×横2.5cm)2枚
  • 印鑑
  • 本人名義の預金通帳又はキャッシュカード(一部指定できない金融機関があり。ゆうちょ銀行は可。)
③7日間の待機期間が発生。

ケガ、疾病等の正当な理由のない自己都合で退職された場合は、この待期期間終了後に、3か月の給付制限期間が発生し、この間は手当が受給出来ません。

④雇用保険受給者初回説明会を受講する。

受講後に「雇用保険受給資格者証」、「失業認定申告書」が渡されます。また、第一回目の「失業認定日」が決定します。

この初回説明会に参加することで、第一回目の失業認定の条件はクリアしますので、必ず参加しましょう。

※)新型コロナウィルスの感染防止のために、初回説明会が開催されていない場合や、求職活動が免除される場合もあるようですので、詳細につきましては、所轄のハローワークで確認して下さい。

⑤第一回目の「失業認定日」に出席し、認定を受ける。

認定日は必ず出席しないと認定されませんのでご注意下さい。但し、事前連絡等によって認定日を変更して貰える場合もあります。

⑥基本手当が指定口座に振り込まれる。

認定後1週間程度で振り込まれます。

⑦以降は、次の認定日までに求職活動を2回以上行い認定日に認定を受ける。

求職活動については、初回失業認定後以降は、次回の認定日の前日までに2回以上行う必要があります。正当な理由のない自己都合退職者は、2回目の失業認定までに3回の求職活動が必要ですが、雇用保険受給者初回説明会に参加すれば、1回にカウントされますので、実質2回の求職活動で良い事になります。

注意ポイント

「失業認定申告書」に実際には行っていない求職活動を記載したり、内職や手伝いをした事実及びその収入を申国しない等の偽りの申告をした場合は、不正受給となります。

その場合は、基本手当の返還と直接不正の行為により支給を受けた額の2倍に相当する額以下の金額の納付(いわゆる「3倍返し」)が命ぜられますのでご注意下さい。

受給期間中の注意点

この手当は非課税ですが、収入には該当します。ご家族の社会保険の扶養に入っている方は、受給額とその他収入との合計額によっては扶養から外れる必要が出てくる場合もありますので、ご注意下さい。

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まとめ

まとめ

  • 雇用保険は、失業等の支援、再就職の援助、労働者の生活及び雇用の安定を目的としている。
  • 失業手当は、離職の仕方や、年齢、被保険者の期間によって給付期間が変わり、年齢によって上限額が変わる。
  • 失業手当は、再就職に積極的な人に支給される。
  • 虚偽の申告をすると、受給額の3倍返しとなる。
  • ケガ、疾病等の正当な理由のない自己都合の方は、3か月の給付制限期間がある。
  • 失業認定日は必ず出席する。
  • 社会保険の被扶養者は、受給額によっては扶養から外れる。

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以上、雇用保険の基本手当についてでした。次回も、雇用保険について解説していきたいと思いますので、よろしくお願いします。

最後までお付き合いいただき、ありがとうございました。





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